■ AsusTek P/I-P55T2P4 Rev3.1 をクロックアップするお話
はじめに

P/I-P55T2P4っていうのは、P55C/P54C/Cx6x86/K5/K6のCPUに対応したAT規格のマザーボードです。

AMD K6-Ⅱを使ってちょっぴり背伸びをしてみる事にしました♪。以下の改造を施します。なお、改造する時は個人の責任においてやってください。

CPUの交換 Intel Pentium MMX → AMD K6-Ⅱ
Clock Up 200MHz → 450MHz

用意するもの
AMD K6-Ⅱ 450MHz版
ファン付きの放熱器
シリコングリース
1.6φくらいの電線5cm(心線がバラのもの)

BIOSのバージョンアップ

BIOSをK6-Ⅱに対応したものに書き換えます。

AsusTekのドイツのftpサイトから最新のBIOSの本体とPFLASH.EXEを取ってきます。
誤って別のマザーボードのBIOSを取ってこない様に注意します。
BIOSの本体と、PFLASH.EXEはZIP形式で圧縮されているので、解凍しておきます。
起動ディスクを作成します。FORMAT A: /S などとして必要最低限のシステムになる様にします。
作成した起動ディスクに、解凍したBIOS本体とPFLASH.EXEをコピーします。
BIOSのメニュー画面を呼び出して、現在の各種設定をメモしておきます。
PC本体のフタを開け、マザーボード上のJP2 2-3側をショートして、BIOS ROMに書き込める様にします。
先ほど作った起動ディスクから起動します。日本語が使えなくなり、キー配列が101キーボードと同等になるので注意します。
PFLASH.EXEを起動します。
まず、現在のBIOSをファイルに保存します。
次に、最新のBIOSに書き換えます。
書き換え中に*絶対に*電源を切らないようにします。BIOS ROMにはPCを起動させるためのプログラム(IPL)も入っていて、これが壊れるとあらゆるメディアから起動できなくなります。
電源を切り、マザーボード上のJP2 1-2側をショートして、BIOS ROMに書き込めなくします。
0205以降のバージョンのBIOSなら、バージョンアップをしなくても動くらしいです。(未確認)

CPUの交換

AMD K6-Ⅱに交換します。このCPUはかなり発熱するので放熱器(ヒートシンク)を取り付けて放熱を良くします。

放熱器とCPUの間には、シリコングリスを塗ります。このグリスは放熱器とCPU表面の僅かな隙間を埋めて熱伝導をよくし放熱効率を高めます。しかし、厚く塗るとかえって熱伝導の妨げになるので、薄く均一に塗るようにします。


CPUコア電圧の設定

CPUのコアに供給される電圧の設定を行います。 CPUの表面にCORE x.xV という表示があるのでそれに合わせます。 私の購入したK6-Ⅱ 450MHz版では2.4Vになっていました。

CPUコア電圧の設定一覧(JP20) 0=オープン 1=ショート
JP名称→
電圧(V)↓
JP2.5JP2.7JP2.8JP2.9JP3.2
3.200001
2.900010
2.800100
2.701000
2.510000
2.401100
2.310100
2.211000
2.111100
2.011110

クロックの設定

CPUに供給されるクロックの設定を行います。

CPUバスクロックの設定一覧(JP8、JP9、JP10)
JP名称→
周波数↓
JP8JP9JP10
83MHz1-21-22-3
75MHz1-22-31-2
66MHz2-31-22-3
60MHz2-32-31-2
55MHz1-22-32-3
50MHz2-32-32-3

CPUコア動作倍率の設定一覧(JP11、JP12)
JP名称→
倍率↓
JP11JP12BF2
2.0(※6.0)2-31-2Nomal
2.52-32-3Nomal
3.01-22-3Nomal
3.51-21-2Nomal
4.02-31-2GND
4.52-32-3GND
5.01-22-3GND
5.51-21-2GND

※ CPUの新コアでは2.0倍の設定で6.0倍の設定となります。

ここでBF2とは、CPUのBF2ピンの事です。このピンをGNDへ落とす事によって4.0~5.5倍の設定が行えます。

BF2ピンをGNDへ落とすには、1.6φ程度の電線を1cmほど被覆をむき、その心線の1本を利用します。 心線を1cm切り出し、それを真ん中からUの字型に曲げます。そしてUの字に曲げた心線が

CPUソケットのSocket7と書いてある側から9番目、ソケットのレバーの反対側から3番目の穴と

CPUソケットのSocket7と書いてある側から9番目、ソケットのレバーの反対側から2番目の穴にまたがるように差し込みます。

※ ソケットの穴は簾状になっている事に注意します。


安定して動作する設定を探す。
No.電圧 バスクロック 倍率 CPUクロック 動作
1 2.4V 83MHz 6.0 498MHz 起動せず
2 2.4V 83MHz 5.5 456MHz 不安定度=高
3 2.4V 83MHz 5.0 415MHz 不安定度=低
4 2.4V 75MHz 6.0 450MHz 不安定度=中
5 2.4V 75MHz 5.5 412.5MHz 安定

設定1では、VGA BIOSでの初期化作業が行われませんでした。コア電圧を上げることによって動作する可能性もありますが、 コア電圧を上げる事によって、CPUの電源回路が焼き切れた例がいくつかあったので挑戦しませんでした(^^;

設定2~4は、起動するけど不安定でした。CPUの冷却方法を強化すればイケる設定かもしれません。 私はペルチェ素子付きの放熱器を使用していますが、この程度では焼け石に水の様です。

設定5は、かなり安定しています。私はこの設定で使っています。やっぱり安定している方が何かと安心です(^^;


結果
HDBENCHの結果
CPU 周波数 ALL Text Scroll DDReadWriteMemoryDrive
P55C 200MHz 8478116511237615999224413899240 25704571011904C:10MB
K6-Ⅱ 412.5MHz12942258403195116105409213908240 25698570416153C:10MB
K6-Ⅱ 415MHz 13053261603235616135423413886240 35694572316467C:10MB
K6-Ⅱ 450MHz 13652282433492616133436613902240 25701570717620C:10MB
K6-Ⅱ 456MHz 13826287743557916110461113907240 35707568518057C:10MB

450MHz(75*6)で動かないのは寂しい感じがします/_;
まぁお手軽なクロックアップではこの辺が限界でしょう(^^;

CPUを炭酸ガス冷却して、PLL回りを改造して…ってやればまだまだ上を目指せそうですけど…Celeronなマシンを買った方が幸せそう(^^;

使用感としては、ファイルの圧縮・展開などは速くなった事が実感できます。MP3ファイルの再生などにも余裕ができました。それ以外はあまり変化が無い感じがします(^^;


Written at 1999.5.16 by ふゆ

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